「猫ジャケ」「猫ジャケ2」〜素晴らしき “ネコード” の世界

Aug 7, 2012 / Topics

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「猫ジャケ」「猫ジャケ2」〜素晴らしき“ネコード”の世界(ミュージック・マガジン)
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国内外の“猫”が起用されたレコード・CDを集めた本「猫ジャケ」。“猫だけのジャケットを集めたら面白いのでは?”と発案した編集・ライターの高岡洋詞さんに、「猫ジャケ」の制作秘話を伺いました。

レコジャケ本は古くから綿々と出版されているんです。レコード好きは音楽とジャケをセットで楽しみますからね。僕も何冊か作ってきました。今は飼っていませんが、実家でずっと飼っていて、もともと好きでした。「猫ジャケ」が面白いんじゃないか?と思ったのは、以前から、音楽好きにはどちらかというと犬よりも猫好きが多くて、それには何らかの理由があるような気がしていたからです。実際、即座にいくつも思い浮かびました。たとえばスピッツの「名前をつけてやる」(1991年)とか、サザンオールスターズの「タイニイ・バブルス」(1980年)、キャロル・キングの「TAPESTRY」(1971年)とか。

これだけ有名な猫ジャケがあるなら、忘れているだけでもっとあるだろうし、マイナーなレコードも含めればそうとうな数になるんじゃないかと思って、ズバリ「猫ジャケ」というウェブサイトをやっていた宮本裕二さん、レコード屋に勤めて猫ジャケを集めていた松本幸恵さんなどコレクターの方々にご協力いただき、徹底的に集めました。現物未入手のものも含めれば1,000枚くらい。そこから選びに選び抜いて、「美女と猫」「こどもと猫」といったテーマでジャンル分けしていきました。

猫ジャケはどの時代にも、ジャンルにも関係なくあるんですよ。表紙になっている「MAMBO FOR CATS」(1955年)をはじめ、写真だけでなくイラストもバリエーションが豊富です。猫が好きな人なら、ジャケをひとつも見たことなくても楽しめると思います。1冊目がすぐに完売したので、「猫ジャケ2」を制作することになりました。2冊目の表紙では、不思議顔のまこちゃんに登場してもらいました。

犬や馬、パンダ、鳥、魚など動物ジャケは多いですが、単一の種でこれだけのものが2冊分集まるのは猫くらいじゃないですかね(笑)。“ネコード”という言葉は、渋谷のレコードショップ「Manual Of Errors SONOTA」で取扱ジャンルとして使われたのが最初じゃないかと思います。僕が一番好きな猫ジャケは、クインシー・ジョーンズの「QUINCY PLAYS FOR PUSSYCAT」(1965年)。音源も最高だし、シャム猫のフォルムが美しい。猫って単体で

分“絵”になるんです。どの瞬間でも、どんなポーズでも可愛いし、形状がオシャレ。こんな動物って、猫しかいないですよね。

作家さんも猫を飼っている人が多いと聞きますが、ものを作る仕事の人にとって、猫は格好のインスピレーション源なんじゃないでしょうか。取材させてもらった畠山美由紀さんも、“見て見て! 今今! みたいな、かけがえのない瞬間がいっぱい”とおっしゃっていましたし、町田康さんも著書のなかで猫たちの行動を細かく描写なさっています。谷山浩子さんは“人間が作り上げた世界の隙間をすり抜ける存在”と形容していて、遠藤賢司さんはズバリ“ああなりたいよね!”と。人間の価値観を相対化し、解放してくれる存在なのかな。そういう意味でも猫とクリエイターにはすごく親和性があると思います。