「ノラネコの研究」著:伊沢 雅子、イラスト:平出 衛 (福音館書店)amazon.co.jp
”アフリカの草原やアマゾンにいかなくても、動物の研究ができる”という著者が、身近なノラネコの行動を丸一日追いかけた研究記録。絵本のような構成になっているので、子どもでも楽しめる動物行動学入門ともいえる一冊です。
研究の舞台に選んだのは九州にある、海べの小さな町。そして主役は黒×白のぶち柄をしたノラネコのナオスケ。著者はノラネコ研究のため、ナオスケの後をこっそりついていきます。朝10時に空き地の石に眠っているところから観察はスタート。”犬がいてもルートを変えずに障害物がいなくなってから道を通る” ”別のノラネコに出会っときには気がついたほうがじっと通り過ぎるのを待つ” といった「ネコ社会のルール」を分析していきます。
”ネコは、そばにくっついてくる人がきらい。はなれたところから観察する”
”ネコは、上から見下されるのがきらい。なるべくネコより下から観察する”
といった「ネコ観察のコツ」も紹介しています。
すばやいナオスケの動きに、途中で見失いながらも、なんとか朝まで観察をつづけ、結果を表と地図にまとめます。そこでは、ナオスケが一日に何時間眠り、何回食事をするのかが記録され、ノラネコが普段どんな生活をしているのかを知ることができます。著者のアドバイスに従いながら、近所に住むノラネコの研究をしてみてはいかがでしょうか。