絵本「しろねこくろねこ」きくちちき(学研教育出版)amazon.co.jp
“しろねこは くろねこの くろい けが すきでした”
“くろねこは しろねこの しろい けが すきでした”
いつも一緒にいる2匹の猫が、お互いの違いを認め合うことで成長していく姿を描いた絵本。著者のきくちさん曰く、近所を歩いているとき、たまたま黒猫を見たらピーンときて、黒猫の絵本を描くことにしたといいます。
「なかなか気に入ったものが描けないので、何枚も何枚も嫌になるほど描き直しています。ただ黒猫は黒く塗りつぶして描くので、その際に多少の修正がきいて若干描きやすいかもしれません。また今回の話は、色によって展開していく話だったので、なるべく単純な色で身近に感じられるものを選びました。思いもよらない色に出くわすのを期待して試行錯誤したいから、色に対するこだわりは持たないようにしてます。これは色に限らず線を描くときや構図を決めるときなど、どんなときもそうですね」
実はこの本、きくちさんが1点1点手製本で制作した絵本がもとになっているとか。デザインはアートディレクターの菊地敦己さんが担当しています。
「一度自分で手製本して完成させた作品だったので、出版する際には全く新しくしたかったんです。デザインを担当してくださった菊地敦己さんは、以前にも仕事を見る機会も色々あったので、お任せした方が絶対いいものができると確信していました。結果、自分には勿体ないくらい素晴らしい絵本に仕上げていただきました」
絵本を作る際は、気に入るまで何度でも、しつこいくらい(!)描き直すというきくちさん。本書には猫だけでなくバッタやカエルなど、さまざまな生き物も登場します。
「生き物を描く時は、いつも想像で描いています。見て描くよりも想像膨らませて描く方が生き生きしたものが描けるんです。これが一番楽しいというのはないのですが、なぜかカエルを描くときが一番すんなり、簡単に描けてしまいます。それが嬉しくてついついカエルを登場させてしまいます」
ページをめくるたびに飛び込んでくる生き物たちと、美しい色彩が織りなす、まるで絵画のような絵本です。