ilove.catが福島・三春シェルターを取材してから約5ヶ月。里親さんが見つかっていく一方で、まだまだ人慣れしていない猫や病気を持った猫たちが残っています。また震災から時間が経つことで、ボランティアの数も減ってきているとか。シェルターの現状について、シェルター設立から関わっている渡邊獣医師に伺いました。
(追記:2015年12月25日、すべての犬猫の飼い主や里親がみつかり、三春シェルターは閉鎖されました)
■第一弾レポート
https://ilovedotcat.com/ja/6944
■第二弾レポート
https://ilovedotcat.com/ja/7318
■第三弾レポート
https://ilovedotcat.com/ja/7596
—ilove.catが取材させていただいたのは今年の2月。取材を重ねる度に、たくさんの猫たちが譲渡されてきたと思うのですが、現状を教えてください。
「人懐っこく飼いやすい猫たちは、続々と飼い主さんが決まっています。今残っている猫は、まだあまり人慣れしていないか、病気などを抱えている猫が多い。2月から5月の連休あたりまでは、里親さんがたくさん来てくださったのですが、いまは少し譲渡のスピードが落ちています。保護した時点で3〜4割が猫エイズや白血病にかかっていたので、このような状況は想定していましたが、病気をもっていることでなかなか譲渡が進まないのが現状です」
—病気を持っている猫の里親になるには、どういったことを注意する必要があるのですか?
「猫エイズ(FIV+)や白血病のキャリアといっても、発症しているわけではなく、他の健康な猫たちと変わりません。もちろん人間に感染するわけでもない。先住猫がいると難しいですが、1頭飼いであれば問題はありません。またウィルスがあるからといって、特別なご飯を用意しなければいけないわけでもない。ただ、外に出してしまうと野良猫に病気をうつしてしまう可能性があるのと、免疫力が弱いので、室内飼いをおすすめします。万が一、発症してしまった際には、医療費がかかることは理解しておく必要がありますが、シェルターではなるべくストレスを軽減し発症させないようにケアをし、病気に理解を示してくれる里親さんと出会うことを望んでいます」
—ウィルスを持っていても、おとなしく性格もよい猫たちですよね。
「手前味噌になりますが、シェルターが始まってから約2年あまり、スタッフたちのスキルもあがっているので、猫たちへの管理も徹底しています。単に動物を扱ってご飯やトイレの世話をするだけではなく、メンタルのケアも大切な仕事です。震災後の恐怖や不信感から閉ざしてしまった心を、献身的な日々の触れ合いで少しずつ人に慣れさせる。より沢山の時間を使い、1匹1匹と触れ合うことが必要。1分1秒でも人と触れ合いコミュニケーションすることが、猫の社会性を身につけ、譲渡につながっていくんです。だからこそ、ボランティアに参加してくださる人がいると非常に助かります」
—数が減ってきたからボランティアが必要ではないということではなく、よりボランティアの力を必要としているわけですね。
「シェルターには猫だけでなく、犬もいます。しつけができていない犬もいるので、指導をしなければいけない。きちんと社会性を身につけることで、里親さんにも興味をもってもらえるんです。今までは、日々の作業だけで手一杯だったのですが、今後はそういったケアをより高め、また病気を持つ猫たちへの理解を伝えていくことで譲渡を進めていきたいと考えています」
【里親募集中の猫たち】
なか
オス、雑種、約3歳
問い合わせ番号:20165
(*取材後、里親さんが決定しました)
シェルターに来た頃は鋭い目つきで威嚇をしていましたが、徐々にパンチがタッチに変わり、初めての抱っこではお互いの顔の近さにびっくりしてしまいました。今ではとても寂しがりやで、人が来るとずっと側に寄り添っています。また他の猫とも仲良くなりたくて、ベタベタ・すりすりとアピールしすぎて敬遠されることも。そんなちょっと不器用なところが愛おしく、放っておけなくなってしまうとか。スタッフが帰る時には、甘えるような目つきでジーッとこちらを見つめています。
シッポ
メス、雑種、約3歳
問い合わせ番号:20333
(*取材後、三春シェルターを卒業し、鳥取県にある「人と動物の未来センター アミティエ」へ譲渡されました)
少し大きめの三毛柄の女の子。あまり動きたがらず、1日のほとんどを部屋の一番高い所で過ごしています。気が強く、人にも猫にもベタベタされるのは好きではありません。周りにあまり感心のないようにみえて、男性ボランティアがくると部屋の外にでてきて積極的な態度に。自分のしっぽにじゃれて遊んだり、猫じゃらしで遊ぶこともあります。ご飯を待っている時のソワソワした姿も可愛らしいです。
ルナ
メス、雑種、約1歳
問い合わせ番号:20466
(*取材後、里親さんが決定しました)
小柄で女の子らしい猫。他の猫とも喧嘩することなく、上手に付き合いができます。活発な一面もあり、高い所が大好き。部屋からでるとスルスルと棚の上へ登り、“私もやる時はやるのよ!”と主張しているような顔つきに。小さい体の割りに、ご飯も残さずきちんと食べ、健康的です。
ナミ
メス、雑種、約3歳
問い合わせ番号:20368
好奇心旺盛で、元気な女の子。こちらから触ろうとすると嫌がりますが、自分からすり寄ってきて甘えるのは好き。よくシッポをパタパタと動かしています。右後ろ足が少し変形していますが、歩くのに支障はなく、活発に駆け回っています。
太郎
オス、雑種、約1歳
問い合わせ番号:20300
(*取材後、三春シェルターを卒業し、鳥取県にある「人と動物の未来センター アミティエ」へ譲渡されました)
まん丸な大きな目が印象的。お掃除グッズのカゴが好きで、掃除中はカゴの上にちょこんと座っています。他の猫とも仲良くでき、遊びも大好き。まだ抱っこはできませんが、撫でるとゴロゴロとノドを鳴らして気持ち良さそうな表情をしてくれます。
ユメ
オス、雑種、約2歳
問い合わせ番号:20475
(*取材後、里親さんが決定しました)
大きなブルーの目を持つイケメン猫。イケメンといっても、お昼寝中にはダラ〜っとして、だらしない格好で寝ていることも。他の猫がおもちゃで遊んでいると、間に割り込んでかまってもらおうとアピールします。食べることが大好きで、ご飯の時間になるとニャーニャーと鳴きながら足元を離れません。猫同士で追いかけっこをしたり、キャットタワーで一人遊びしたりと、元気でやんちゃな性格です。
お母さん
メス、雑種、約2歳(FIV+)
問い合わせ番号:20292
遊ぶことが大好きで、高い棚やゲージの裏など、部屋中を駆け回っています。お気に入りの人形を見つけると、抱え込んで得意のネコキックを連発。他の猫たちからちょっと引かれるほど、夢中になります。アクティブな動きと、短いシッポがチャームポイントです。
ツナ
オス、雑種、約3歳(FIV+)
問い合わせ番号:20464
(取材後、里親さんが決定しました)
面倒見がよく、とても優しい猫サロンのお兄さん的存在。ゲージから猫サロンにやってきたばかりの緊張した猫には、そっと近づいて毛繕いし、安心させようとしてくれます。他の猫も嫌がったり怒ったりすることなく、協調性があります。もちろん人にも優しく甘えます。
マツ
オス、雑種、約5歳(FIV+)
問い合わせ番号:20339
まったり、ゆったり、マイペースな性格。いつも眠たそうな顔をしていて。他の猫にはあまり興味を示さずに1匹で好きなことをしています。でも人にはベッタリ、甘えん坊。一度撫でると、ずっと後を着いてきて離れようとせず、やさしい目つきで見つめてきます。
オカン
オス、雑種、約3歳(FIV+)
問い合わせ番号:20384
部屋に入ると一番最初に出迎えてくれます。遊んで欲しいのか、足元でスリスリとアピールしますが、目を離すとちょっと不機嫌気味に甘噛みすることも。始終、構って欲しいタイプ。アゴ下とホッペを撫でるとトロンとした目になり、気持ちよさそうに見つめてきます。
たま
オス、雑種、約5歳(FIV+)
問い合わせ番号:20187
落ち着いて大人しい男の子。すましたような顔をしていますが、近づくとさりげなく甘えてきます。膝の上が好きで、自分から膝の上に乗ってきてそのまま居座ることもしばしば。抱っこをしながら全身を撫でると、ゴロゴロとノドを鳴らします。
■里親募集、ボランティアなどのお問い合わせはこちらへ
福島県動物救護本部
http://www.fuku-kyugo-honbu.org