「猫と小石とディアギレフ」福原義春

Aug 31, 2012 / Topics

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「猫と小石とディアギレフ」福原義春(集英社)amazon.co.jp

実業家であり、資生堂の名誉会長である福原義春氏が、集英社のPR誌に連載していたエッセイをまとめた一冊。冒頭に登場する「犬派、猫派、それとも」では、犬派だった福原氏がいかにして猫派に転身をとげたのか、黒猫のプーさんと三毛のミーチャンの2匹の猫たちとの暮らしを通じて書かれています。

エッセイの中で猫が登場する部分は少ないものの、「これまでに読んだ本の中から100冊を選べ」という雑誌の企画で、100冊もの本を選ぶ奮闘ぶりは実に興味深いです。実際に福原氏の本棚をのぞき見しているような楽しみがあり、大竹伸朗の「London/Honcon,1980」から「老子」やロラン ・バルト「表徴の帝国」、はたまたファーブル昆虫記まで、さまざまな本が並んでいます。末尾に記載された、全100冊のリストは必見。

ほかにも、白州次郎のダンディズム、日本人とカレー、マルタ島での経験、さらには出版界に対する苦言まで、福原氏独自の視点で書かれた読み応えのあるエッセイ集です。