メディコム・トイ副社長 須賀泉水 ×ボン、ボイ、ビビ — 自立性の高い猫たち

Dec 10, 2014 / Interviews

Photo:Kazuho Maruo Edit&Text:Madoka Hattori

BE@RBRICK(ベアブリック)など国内外で人気の玩具を手がける「メディコム・トイ」の副社長、須賀泉水さんはパートナーであり社長の赤司竜彦さんとともに、ボン、ボイ、ビビという3匹の猫たちと暮らしています。一時期は6匹の猫たちと暮らしていたという須賀さん。17年という長い歳月をともに暮らしてきた猫たちとの歩みを伺いました。


<ボン>

親子6匹との暮らし

—3匹ともとってもおとなしいですね。

「ボンは17歳、ボイとビビも16歳なので、あまり走り回ったりはしませんね。いま居るのは、みんな雄猫ですが、一時期は6匹の猫たちと暮らしていました。最初に飼っていた雌猫がさみしいかなとおもって、ボンを飼いはじめて、すぐ子どもができました。4匹産まれたのですが、2匹はすぐ亡くなってしまって。それが悲しくて、2匹ともうちで飼うことにしたんです。その後、また5匹産まれたのですが、3匹は里子にだして、残った2匹と最初の2匹、母猫と父猫のボンの合計6匹と暮らしていましたが、みんな比較的おとなしかったかな」

—血縁がある親子で暮らしていたと。

「大家族でしたが(笑)おととしに母猫が、直後に末っ子の雌猫がガンで亡くなり、つい先日、もう1匹の雌猫が亡くなって……。気がつけば、いま居る3匹の雄猫たちだけになりました」


<ビビ>

—そもそも猫を飼うきっかけは?

「実家でずっと犬を飼っていたんです。犬も好きなのですが、猫は飼わせてもらえなくって。一人暮らしをはじめて、猫を飼いだしてからずーっと猫派です。だから、この猫たちは3代目。最初はシャム猫を飼っていました。家猫だったのですが、近所の半野良みたいなきれいな猫たちが玄関に迎えにくるようになってから、外で一緒に遊ぶようになったんです。毎日夕方には帰ってきていたのですが、だんだん帰ってこない日が多くなって、それがある日まったく帰ってこなくなってしまい……。もちろん、探しまわったのですが、姿形がなくなったのであきらめました。その後しばらくして、捨てられていた子猫を2匹拾って飼いだしたんです。その1匹が下のマンションの家によく入り浸っていたらしく、ある時、この猫はお宅の猫ですか? って連れてこられて、その方の家で飼いたいって言われたんです。最初はいやうちの猫だし! って思っていたのですが、度重なるお願いに気持ちがゆらいで、いろいろ話し合った上でその方に譲ることにしました」

—なるほど。では3代目となる猫たちとの出会いは?

「今の主人(メディコム・トイ社長の赤司氏)と結婚して一緒に住んだ家の庭に、子猫がやってきたんです。とてもかわいかったので、飼おうと思って育て始めたら、カラダが弱かったのか3日くらいで亡くなってしまったんです。それで、やはり猫を飼いたいねという話になり、最初の雌猫を迎えいれることになりました」


<ボイ>

自立性の高い猫たち

—たくさんの猫たちと暮らしてきたんですね。

「でも、後悔ばっかりです。ちゃんと育ててあげられていたのかなって。なのでいまは愛情具合がものすごいかも。猫を飼うのは、大変なこともあって、6匹いたときは、トイレと格闘していましたし(笑)。抜け毛もすごいから、掃除もしなければいけないし、粗相することも。でも犬よりも、手はかからないと思います。猫たちの、自分たちでちゃんと生きているという、自立性の高いところがいいですよね。犬はかまってアピールがちょっとしんどくなる時もあったりしますが、猫はこちらからかまわせてくださいってお願いする感じ。猫を飼っている人ならみなさん思っているのではと思いますが、そのツンデレ具合がいいんですよね。なので、猫との暮らしはやめられません」

—3匹の性格の違いは?

「ボンはとても頭がいい。私や主人の言うことをちゃんと理解している気がします。出張に行くときも、ボンだけは出かけるんだとわかって、スーツケースによってきて、明らかに機嫌が悪くなる。ほかの2匹は全く気づかないんですけど(笑)。ボイはいつもぼーっとしてて、おだやかですね。ビビは甘えんぼうなのにすごく一匹狼な子です」

—多頭飼いになると、猫にも社会性がでてきそうですよね。

「みんなボンが大好きで、ボンが動くと付いていくんです。一家の大黒柱じゃないですけど、雌猫たちがいたときも、ボンのことをみんなが注目している感じ。ボンどこいくの? 私もいく~。ボンが水飲むなら、僕も飲む〜って。母猫だけすごく気が強くて一番やんちゃだったからか、他の猫たちは仲良しでした。いまは、3匹だけになったからか、3匹でくっついてることが多くなりました」

猫好きがつくる猫グッズ

—リサ・ラーソンの置物もたくさんありますね。メディコム・トイでもコラボレーションしたアイテムを手がけていますが、リサの猫の魅力は?

「はじめて買ったのが、黒猫の陶器の置物でした。猫に興味がない人にとってはただの黒猫に見えるかもしれませんが、猫の姿が絶妙に表現されていてビックリしたんです。きっとリサさん本人が猫好きで、だからこそ、猫好きのツボにハマるデザインになっているんだろうなと。普通にコレクターとして集めていたのですが、ある時、知り合いに娘のヨハンナさんを紹介していただいたんです。そこからベアブリックのコラボレーションが決まりました。ご縁だなあと思いました。佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』のグッズも先様からお声がけいただいて。猫好きだからこその繋がりではないかと思います」

—猫アイテムをつくるときの基準は?

「自分がカワイイと思うこと。かなり感覚的な判断をしていますが、制作スタッフたちはとても優秀なので、その意図を汲んでくれます。彼らが仕上げたサンプルをみて、リサ・ラーソンの1ファンとして、本当に欲しいか、カワイイと思えるかという判断をしているだけです。目が寄っていればカワイイとか、単純な話ではないんですよね。何を作る時でも、そのアイテムやモチーフを好きな気持ちが、一番信用できるんです」

—猫たちと暮らして一番うれしいことは?

「家に帰ってくると、大きな毛玉だらけなところ(笑)。どこを向いても、毛のふわふわした猫たちがいるのって最高じゃないですか? いい感じで寄り添ってくれる。だから猫が好きなんです」

  • 名前: ボン、ボイ、ビビ
  • 年齢: 17歳、16歳、16歳
  • 性別: 雄、雄、雄
  • 品種: アメリカンショートヘア
  • 飼い主プロフィール:
    須賀泉水(すが・いづみ)
    株式会社メディコム・トイ 副社長。1996年、パートナーであり社長の赤司竜彦氏とともにメディコム・トイを立ち上げる。「マーケティングに基づく商品開発ではなく自分達が欲しいものを作る」をコンセプトに、映画・TV・コミック・ゲームなど、幅広い分野のキャラクターフィギュアを企画製造。2000年、自社商標の「KUBRICK」(キューブリック)、01年には「BE@RBRICK」(ベアブリック)を発表し、世界中のアーティスト、ブランド、企業、キャラクターなどと、多彩なコラボレーションを発信し続けている。また、テキスタイルブランド「FABRICK®」、ライフスタイルブランド「Sync.」など多岐に渡る事業を展開。12年5月22日には、スカイツリータウン®内「ソラマチ®」にフラッグ・シップストアをオープンした。
    http://www.medicomtoy.co.jp
    http://www.bearbrick.com