料理研究家・桑原奈津子 ☓ 小鉄 — 犬も猫もみんな可愛い

Dec 30, 2015 / Interviews

Photo:Kazuho Maruo(kiki inc) Edit&Text:Madoka Hattori

パンが好きな保護犬・キップルと日々の朝食を記録した書籍『パンといっぴき』の著者である、料理研究家の桑原奈津子さん。実は犬だけでなく、猫2匹とも暮らしています。驚いたような表情をする雄猫・小鉄さんと、撮影にはでてきてくれなかった雌猫・クロさん。気づけば猫のほうが多くなっていたという桑原さんのご自宅で、動物たちに囲まれることの楽しさについて伺いました。

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犬と猫とオカメインコ

—動物たちと暮らすきっかけは?

「子どものころから犬が好きで、中学生の時に黒柴を飼い始めました。大人になってからはなかなか飼うタイミングがなかったのですが、一軒家に引っ越し犬が飼える環境になったので、里親募集のサイトで探し始めました。犬種にはこだわりがないので、保護犬のなかでももらわれにくいと聞いていた雑種犬にしぼり、何ヶ月もサイトをみていてキップルをみつけたんです。当時は生後3ヶ月くらい。いま9歳なので、約9年一緒に暮らしています」

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〈小鉄〉
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〈キップル〉

—猫たちは、どのタイミングで一緒に暮らし始めたのですか?

「キップルを飼いだしてから、しばらくして庭に黒猫があらわれるようになったんです。まだ成猫じゃなかったので、、保護して里親を探しはじめました。実はその頃、オカメインコも飼っていたので、猫を飼うという発想がなかったんです。でも野良気質で、全く懐かなくって。4ヶ月くらい経ったのですが、警戒心が強く、これは誰にも託せないなと……。そうこうしているうちに、オカメインコが亡くなって、飼うことに決めました。それが、今日は隠れて出てこれないんですがクロです。キップルとクロの2匹で暮らしている時は、すれ違うと挨拶するくらいの関係で、喧嘩はしないけど、たいして仲良くもない感じ。キップルが大人しくて、クロは徐々に警戒心がとれていきました」

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—そこに小鉄さんがやってきたと。

「ずっと子猫を飼ってみたいと思っていたんですね。でもクロを飼う時も夫に反対されていたので、なかなか言い出すタイミングがなくて。ある時、知人が子猫を拾ったということで飼わないかと連絡がきたんです。意外に夫が乗り気になったので、これはチャンス!と思っていたのですが、すでに決まってしまって。その子猫熱が冷めないうちに、里親サイトで小鉄をみつけて、すぐに問い合わせました。4匹いたのですが、そのときすでに雄雌1匹ずつしか残っていなくて、甘えん坊と聞いていた雄がいいなと思い、生後1ヶ月半くらいの小鉄を連れて帰りました。3匹になって、2年半くらいですね。気が付くと、この家は人間より動物のほうが多くなっていました(笑)」

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—桑原さんは、幼い頃から犬が好きだったのに、なぜ猫にも興味がでてきたのですか?

「子供の頃、通い猫がいたので馴染みはありました。本当は、クロがやってくる前に、2匹目の犬を飼いたいとおもったのですが、これまた夫に反対されて(笑)。たしかに、都会で2匹毎日散歩させるのは大変かなと。キップルも猫好きだったので、猫ならもう1匹いけるかなと思って小鉄を飼い始めたんです」

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—小鉄さんがやってきて、3匹の関係性は変わりましたか?

「クロは私に懐くのに4ヶ月かかったのですが、小鉄を受け入れるのも4ヶ月かかりました。小鉄が負けずにグイグイとクロのところにいったので、根負けしちゃったのかもしれません。意外と気が強くて、小鉄とクロは寝床をとりあって小競り合いすることもあります。キップルがこの家のボスで、小鉄とクロはライバルだと思っているはず。キップルはクロより小鉄のほうが怒らないので、よく遊んだり、近くで寝たりしています」

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パンが好きな犬と興味のない猫

—書籍『パンといっぴき』ができる経緯は?

「twitterを始めた頃、何を書いていいのかわからなくて困っていたんです。でも、保護犬の存在と雑種犬の魅力をさりげなくじわじわと伝えられたら良いな、とは思っていて。ある日、朝ごはんとキップルの写真を投稿したら反応があったので、これなら料理研究家の仕事からもそれほど外れていないし、いろんな人に保護犬との暮らしを見てもらえるかなと、続けることにしました。しばらくして出版社の方からお声がけいただき、レシピなどを追加して本にしていただきました」

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—キップルさんの物欲しげな表情がとてもいいですよね。

「おやつを撮影しようとiPhoneを構えていたら、キップルがおこぼれをもらおうとやってきたんですね。それから毎朝、朝食を撮影していると自然に顔を出すようになって。猫たちはパンに興味がないのか、あまり登場しません。唯一、おにぎりを食べる時だけ、海苔の香りにひかれてやってくるくらいですね」

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—写真はiPhoneで撮っているそうですが、撮影のコツはありますか?

「耳の先からしっぽの先まで可愛いと思っているので、写真のフレームには全身おさめたいいんです。耳が切れるのもいや。だからアップが少ないんですけど。だから全部いれるのがポイントです」

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—書籍化されて、桑原さんが変わったことは?

「犬や猫など、動物好きの人たちからの反応が多いですね。キップルに会いたいからという理由で、お仕事のオファーをくださる方もいます(笑)。雑誌でパン特集があると、キップルも一緒に、と声をかけられます」

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—料理の記事にも、自然と犬や猫の話が絡んでくる。それは、一緒に暮らしている人にとっても身近に感じますよね。また犬も猫も両方飼っている方も増えています。猫だけでなく、犬が一緒にいることの楽しさは?

「犬種にこだわらなくても、雑種もとてもかわいいんですよ猫も一緒だと思いますが、雑種だと身体も強いし、犬本来の美しい姿をしている。キップルは特に大人しくて、猫っぽい性格だからかと思いますが、お世話が楽です。犬はわかりやすいんですよね。散歩にいけばいいし、おもちゃで運動する。でも猫って、運動させようとおもちゃをふっても全く興味を持たなかったりしますよね。ご飯も、気分で食べたり食べなかったり。膝の上に乗ってきたら、気分を害さないように、何十分も動かないようにしたり。かなり気を遣います(笑)。でも犬と猫が両方いると、それぞれ違う可愛さを楽しめるのがいい。猫は真顔のまま甘えてきたり、面白い動きをしたり。犬と一緒に散歩にいくのも気分転換になる。本当に、みんな両方飼えばいいのに! って思います

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  • 名前: 小鉄
  • 年齢: 2歳半
  • 性別:
  • 品種: 雑種
  • 飼い主プロフィール:
    桑原奈津子(くわはらなつこ)
    料理研究家。カフェのキッチンとベーカリー、製粉会社の開発室を経て独立。雑誌や書籍へのレシピ提供を中心に活動中。著書に『バターで作る/オイルで作る ビスケットとショートブレッドの本』(主婦と生活社)、『かんたん手作りグラノーラとミューズリー』(主婦の友社)、『パンといっぴき』『パンといっぴき2』(パイインターナショナル)など。
    twitter @kwhr725