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漫画「シッポがともだち」桜沢エリカ(集英社)amazon.co.jp
下北沢の駅前で出会った美人猫・あけみ、恵比寿の路上で瀕死の状態で拾ったカッチー、たった500円で売られていたベン。漫画家・桜沢エリカと、3匹の猫とのにぎやかな日常を描いた漫画です。パリやNYに旅行にいっても、旅先で猫を探してしまう著者。“デートはいつも定食屋”のカッチー、“細かいところまで気がつくタイプ”のベンちゃんといった、雄猫たちの性格を男性の行動に例えたりと、猫を飼っている人なら思わずうなずきたくなるエピソードが満載。さらに3巻では、著者が自宅出産した赤ちゃんの出現(?)に戸惑いながらも、しだいに仲良くなっていく猫たちの姿も。4巻のラストでは、カッチーの死に直面した著者が「これ以上猫たちの死を描いていく気持ちになれない」というコメントとともに、連載が終了します。あけみとの出会いから、18年にも渡る猫との暮らしを細やかに描いた猫漫画です。
絵本「あおい目のこねこ」著・イラスト:エゴン・マチーセン、翻訳:せた ていじ(福音館書店)amazon.co.jp
デンマークの絵本作家、エゴン・マチーセンによる、あおい目をしたシャム猫の物語。ねずみの国をさがして冒険にでた子猫が出会う、さまざまな出来事をテンポよく綴っています。子猫の表情はもちろん、登場する魚やハリネズミなど、生き物たちの描写も秀逸。また、黄色い目をした5匹の猫たちとのやりとりも痛快です。まさに、猫絵本の古典ともいえる1冊です。
「猫に時間の流れる」保坂和志(中公文庫)amazon.co.jp
“外を歩いている猫を見て、その猫のことが気にかかったり、猫のからだつきや仕草をかわいいと思ったりするのは恋愛や性の感情とはずいぶん違っている。それは恋愛や性のように激しい心の動きではなくて、特に昂揚感を伴うわけでもなくて、強いて説明しようとするなら、猫を見ているときの気持ちはとたえば海を眺めている時間と似ているのかもしれない。”
物語の中にたびたび猫が登場するという小説家(愛猫家)、保坂和志による猫小説です。古いアパートの両隣に住む飼い猫のチイチイとパキ、マーキングをしにくる野良猫のクロシロ、そして飼い主たちの日常を綴ったストーリー。
表紙の猫は、ウィルス性の白血病にかかり、4歳で亡くなってしまったという著者の愛猫チャーちゃん。単行本では小説に登場するクロシロに似た猫の写真を表紙に使っていましたが、著者の意向で文庫版ではチャーちゃんが表紙になったとか。巻末に掲載された、大島弓子さんによる「解説マンガ」も必見です。
漫画「小さなお茶会」猫十字社(扶桑社)amazon.co.jp
80年代初頭の少女漫画シーンで話題となった、猫の夫婦の物語。愛らしい「ぷりん奥さん」と、少年の心を持ったおだやかな旦那さんの「もっぷ」。お茶をしたり、詩を朗読したりと、ささやかな日常を描いています。お互いを思いやる気持ちにあふれた素敵な夫婦が紡ぐ、メルヘンの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
絵本「猫の建築家」著:森博嗣、イラスト:佐久間真人(光文社)amazon.co.jp
建築家に生まれ、「美」の意味を問い続ける猫が主人公の物語。人気ミステリー作家・森博嗣による哲学的な言葉はもちろん、新進画家・佐久間真人のレトロな雰囲気の絵が、猫の住む異世界へ連れていってくれます。英訳もついているので、合わせて読んでみては。
「ねこと国芳」金子信久(パイインターナショナル)amazon.co.jp
猫好きにはおなじみ、江戸の浮世絵師・歌川国芳の猫本です。著者は、府中市美術館の学芸員である金子信久さん。「ほかの浮世絵師と比べて、国芳はあたらしい猫の描き方をしていた」というだけあり、まるごと国芳づくしの1冊。有名な《其まゝ地口猫飼好五十三疋》はもちろん、猫の役者が大勢登場する団扇絵、踊る妖怪猫、猫でできた当字など、総勢352匹もの猫たちが登場します。また、英語版は世界10カ国以上で同時発売されるとか。まさに、“猫好きのかゆいところに手が届く” 愛猫家必見の猫本。ちなみに府中市美術館では、2013年3月に動物を描いた作品がてんこもりの「かわいい江戸絵画」という展示も予定されているとか。
漫画「What's Michael?」小林まこと(講談社)amazon.co.jp
高い棚へ登ろうとして失敗したとき、獲物をつかまえ損ねたとき、照れ隠しのように踊ってごまかす猫。それが日本一有名な踊る猫、マイケルです。小林まこと氏の描くマイケルは、毎回飼い主が変わったり、野良猫だったり、ときには擬人化されていることも。そもそものきっかけは、先に連載されていた「マンガの描き方」に登場するマイケルが人気となり、編集長の要請でマイケルの話を描くことになったとか。当時流行していたマイケル・ジャクソンの「スリラー」を、真顔で踊るマイケル姿は必見。また耳やしっぽ、細やかな舌の動きなど、著者の猫に対する観察眼にはうなずくことばかり。まさに、名作猫漫画です。
「ねこの12星座占い」作:レズリー・アン・アイボリー/訳:酒井公子(小学館)amazon.co.jp
「おひつじ座の猫は食欲旺盛!」
「愛情深く家族想いな、かに座の猫」
「 好奇心旺盛なさそり座の猫は、こわいものしらず!? 」
猫を描くイギリスの画家、レズリー・アン・アイボリーが「猫の性格も人間と同じように12星座占いにあてはまる」という実体験を基に制作した絵本です。12星座は、どのように人と猫に影響を与えているのか。登場するのは、著者や友人たちの気品溢れる美しい愛猫たち。それぞれの星座に合わせて、猫たちの性格がユーモラスに表現されています。また、星座ごとの太陽、宝石、動物、花、ハーブなどといったラッキーアイテムも要チェック。猫好きなら手元に置いておきたい1冊です。
「アブサン物語」村松友視(河出書房新社)amazon.co.jp
「ネコが、テレビを見たり本を読んだりしている人間のそばで眠っている光景はよく見かけるが、あれには理由があるらしい。人間が何かに集中しているときは、そこにある種の“熱"が生じている。その“熱”の輪の中にいると心地よいので、ネコは人が何かに集中しているところを好むというのだ」
作家・村松友視による、21歳もの大往生をとげた愛猫アブサンの書き下ろしエッセイです。知人が日比谷公園で拾った(出会った?)という、アブサンとの出会いから最期の日までを細やかに描いています。直木賞受賞作「時代屋の女房」にも登場するアブサン。本書には、アブサンの遊びや失敗といった何気ない日常から、友人の糸井重里氏にたのまれ広告撮影に挑んだエピソードなども掲載。猫に不慣れだった「カミさん」が次第に著者よりもアブサンのことを理解していく姿にちょっぴり嫉妬したりと、猫に対する深い愛情を感じる1冊です。著者の庭に出入りする猫たちを描いた「野良猫ケンさん」も必読です。
漫画「トラジマのミーめ」松本零士(秋田文庫)amazon.co.jp
「銀河鉄道999」などで知られる漫画家、松本零士さんによる猫漫画です。主人公のトラジマ猫は、著者が実際に14年間をともに暮らした猫ミーくんがモデル。飼い主のあつ子一家をはじめ、近所のノラ猫仲間たちとのにぎやかな日常を描いています。巻末には、松本家に暮らす歴代の”ミーくん”の写真も掲載。実は、1994年からともに暮らしていた3代目のミーくん(雄猫)が、先日亡くなったばかり。ilove.catの書籍版では、作家の島本理生さんの猫SF小説に合わせて、挿絵を描き下ろしてくださいました。猫愛にあふれる松本零士さんの作品は、猫好きであれば誰しも心奪われるはず。ぜひ、漫画と合わせてチェックしてみてください。