東京・恵比寿にあるレストラン『APONTE』のプロデュースや、ASEANの食の親善大使として活躍する料理家の栗原友さん。そんな栗原さんと暮らすのが、日本では珍しい猫種「ブリティシュ・ショートヘア」の愛猫ダンプさん。今回は、雑誌「Casa BRUTUS」 8月号(7月8日発売)《やっぱり、動物と暮らしたい!》とコラボレーションし、雑誌には掲載できなかった写真やお話をお届けします。愛嬌をふりまくダンプさんと、栗原さんのおいしい手料理でもてなしていただきました。
ずっと、猫とともに暮らしてきた
—ダンプさんとの出会いは?
「ブリティッシュ・ショートヘアが飼いたいと思い、かなり探して見つけた和歌山のブリーダーさんの所で出会いました。ブリティッシュ・ショートヘアは、しっぽは太く手足が短いのが特徴です。きっとダンプカーみたいに大きくなると思って、ダンプって名付けたんですけど(笑)、実際は同じ種の猫に比べると小柄みたいです」
—以前から猫を飼っていたのですか?
「元々猫が大好きで、小学生の時に家の近くに捨てられていた子猫を保護したんです。ところが、母に猫を飼うのはダメ!と言われて…。仕方なく庭で飼っていたのですが、母の目を盗んでは家に入れているうちに、しぶしぶ飼っていいということになりました。2年前に亡くなってしまったのですが、ギャビーという雌猫で22年も長生きました」
—22年はかなり長寿ですね。その後は?
「実は20才の頃、サダという名前のアメリカンショートヘアが新たに家にやってきて、ギャビーと一緒に暮らしていました。その後、4年前に引っ越した時にまた猫を飼いたくなって。ガーフィールドというキャラクターがブリティシュ・ショートヘアだという噂があり興味を持ちました。調べていくうちにブラウンよりもブルーが洒落ているなと思い、ブルーのブリティッシュ・ショートヘアに決めました」
—サダさんではなく、新たにダンプさんを探した理由は?
「引っ越しをさせるのが可哀想なのと、父と母が愛情をたっぷり注いでいて、“飼いはじめたのはあなただけど、育てているのは私達よ”って言われたので(笑)。しょうがないですよね」
猫嫌いな人にほど愛嬌をふりまくダンプ
—ダンプさんはどんな性格ですか?
「今日は少し緊張していますが、あまり人見知りはしないです。猫が嫌いな人にほど愛嬌を振りまくんですよ。あと水辺が大好きで、洗面台の中に入って寝たり、私がお風呂に入っているとお湯を舐めています。たまに蛇口をゆるくしめて水滴が垂れていると、自分のおでこに水滴を垂らして遊んでいたり。お風呂も好きなのですが、冬は肺炎になる可能性があると言われ、春から秋にかけて1〜2回入れています」
—お気に入りの場所やオモチャは?
「ベランダが好きで、外を眺めながら行ったり来たりしています。おもちゃは、猫の形のぬいぐるみを気に入って、いつも舐めたりフミフミしています。あまりに汚くなってしまい、これは買いかえて2代目なんですけど。猫じゃらしと、中にマタタビが入ったおもちゃも好きですね。猫じゃらしはすでに3本目です。リボンとセロファンも大好きで、一度リボンを食べてしまったことがあって…。すぐに救急で獣医に連れて行き、吐き出す薬を処方して取り出したのですが大変でした。次の日にはケロっとしていましたが、私の方が必死で泣きそうでしたね」
—ごはんのごだわりはありますか?
「いつもロイヤルカナンのカリカリをあげています。子どもの頃からずっと同じです。ダンプはこうみえて、全然食いしん坊じゃないんですよ。病院では、この大きさでやっと標準体重に追いついたくらいと言われました。長生きして欲しいから、ペットフード以外はあげないようにしています。餌やトレイなどは、いつもペットゴーで購入しています。今使っているお皿はイギリスで購入したものです。実用的な猫のアイテムだと、あまり可愛いデザインがないので、海外に行ったら必ず猫グッズをチェックして買ってくるようにしています」
—トイレはどうしていますか?
「友人に勧められて『ニャンともトイレ』を使っています。実は一週間変えなくていいシートが、震災後に欠品になってしまったので、今は代用品を使って使っているのですが。どうしても臭いが気になる時は『天使の水』と『ペットの消臭力』がすごく効きますよ」
溺愛しすぎて避けられている!?
—ブリティシュ・ショートヘアは、基本的に従順でおとなしい性格といわれていますよね。
「ブリーダーさんがとてもしっかりしつけてくれたようで、基本的にはいい子です。爪研ぎも爪研ぎでしかやらないですし、壁や障子には一切手を出さない。ただ、唯一困るのが、筒状のモノを倒すんです。水の入ったグラスに手を入れて倒すので、割れるし床が水浸しになります。私が見ている所ではやらないのですが、目を離した隙にガシャーン!て…。何度注意しても、直らないですね」
—病気などは全くしないのですか?
「ほとんどありません。ただ去年、私自身に色々とストレスが重なってしまった時期があって、それが猫にも伝わってしまったみたいで、突然そそうをするようになったんです。例えば、友人の結婚式に出掛けようと準備をしていたら、その着物の帯におしっこをしたり、出張に行く為にスーツケースを広げていたら中でするとか。今まさに使うモノにするようになってしまって。人間のストレスを敏感に感じてしまっていたのかも。でも引っ越しをして、今の場所になってからはパタッとなくなりました」
—ほどよい距離をとりながらも、ダンプさんはとても愛されていると感じます。
「いえいえ、溺愛ですよ。溺愛しすぎて、最近は一緒に寝てくれなくなってしまったんですけど(笑)。触るのは嫌がらないんですが、抱っこもあまりさせてくれないですね。昔は腕のなかでスースー寝ていたんですけど、今はスッと逃げられてしまいます」
モデルとして大活躍するダンプ
—最近、モデルとして活躍したとか。
「カメラマンの正田真弘さんからのリクエストで、ハナエさんの『羽根』というCDのジャケットの撮影にモデルとして参加しました。迷惑かけないように、私の方が緊張しましたね(笑)。スタジオでは逃亡しそうになったのですが、なんとか無事撮影してもらえました。親バカみたいですけど、嬉しいですね」
—猫のグッズや本などは集めていますか?
「猫の刺繍のバッグや置物とか、ついつい集めちゃいます。自分で紙粘土のダンプをつくったりもします。あと、イギリスに留学していた時に近所にトムという猫がいて、友人がプレゼントしてくれた器は大切にしています。マンガだと『What's Michael?』は全巻持っています。すごく面白いんですよ」
—最後に、今後の予定を教えてください。
「料理を仕事にしたきかっけは、アパレル会社にいた時にいきなり雑誌の連載をお願いされたんです。やりはじめてから楽しくて、だんだん料理の仕事が増えてきて、1年くらいしたら会社を辞めて料理に専念しました。最近では、イタリアンレストラン『APONTE』でプロデュースをさせてもらったり、レシピ本も2冊出版しましたが、やはり自分のお店を持ちたいなと思っています。しっかり食べられる、ご飯屋さんをやりたいなと。飲み屋をやるよりは、ご飯屋さんのほうが合っているかなと思います」