シンガーソングライター・持田香織 × うた — 大家族の欠かせない一員

Nov 22, 2011 / Interviews

Photo:Shin Suzuki / Edit& Text:Sawako Akune

2011年でデビュー15周年をむかえたEvery Little Thingのボーカルとして、またソロアーティストとしてその透明感のある歌声を日本中に響かせ続けてきた持田香織さん。幼い頃から猫たちと暮らしてきた彼女の一家が、マンチカンのうたさんに出会ったのは5年前のこと。死別が辛いからもう飼わないと決めていたにも関わらず、その魅力には抗うことができなかったとか。まんまるの顔とからだをトテトテ運ぶ短い足……。家族中がメロメロの様子です。今の飼い主であるお母様のハルさんも参加して、終始賑やかな取材になりました。

暮らしにいつも猫がいた

—ずっと猫を飼っているんですか?

香織「最初に飼ったのは、私が小学2年生のときでした。家族でごはんを食べに出かけたら、そのそばに野良猫の子どもがいて。「かわいい〜♡」って大騒ぎしたんだけど、家族は皆お腹が空いているから「早く行くよ!」って(笑)。でもどうしても忘れられなくて、翌日また様子を見に行ったんです。そうしたら、エサをやったりしてそのコたちの面倒をみていたらしい近所のおばさんが、「子猫がたくさん産まれちゃったから、気に入ったコがいたら連れて行ってもいいよ」って言ってくれて。それでお母さん猫に「ごめんなさい、一匹ください!」って連れてきちゃった。それがチャウくんという男のコです。それで、確か4年生か5年生くらいの頃に、2匹目となるパンちゃんを……」

ハル「そうっ。チンチラシルバーの!」

香織「飼い始めたんです。パンちゃんが来たらチャウくんちょっとかわいそうだったんですよね。それまで皆にかまってもらってたのに、いきなり『パンちゃん、パンちゃん』になっちゃって」

ハル「そんなことないわよう!」

香織「そうだってば。っていうか入ってこないで(笑)! だってチャウくん、ずっとソファの隅っこに隠れたりしてたじゃない。……それで、そのチャウくんは飼い始めて5年目に亡くなってしまったんです。あの時は本当に悲しかったなあ。当時私は小学校6年生で、「チャウくんが与えてくれたもので頑張っていこう」って意気込んで、卒業のときに学年代表で発表しましたから。「ワタクシたちはっ」って」

ハル「あらそんなことあったかしら。忘れてた」

ー……えー、ともかく2匹を飼われて、と。パンちゃんはその後?

香織「17年間生きました」

ハル「そう、18歳になる直前まで。尿道結砂になったり白内障になったり、たくさん病気もしたけれど、すごくいいお医者様に出会えて幸福だったと思います」

香織「パンちゃんが亡くなったとき、私は仕事の面でもプライベートでも本当に辛い時期だったんです。だからもう泣き面に蜂で、それまでしばらく一人暮らしをしていたのをやめて、実家に帰ってきました」

ハル「私もパンちゃんが亡くなったのがものすごく応えて。ああいう辛くて苦しい気持ちはもう絶対にしたくないから、もう猫は飼わない、って言っていました」


もう猫は飼わない、はずだった…

—では、うたさんを飼い始めたきっかけは?

香織「……ついペットショップの前を通っちゃって(笑)」

ハル「パンちゃんが亡くなってから1年後くらいに、地元の亀有の商店街にあるペットショップで、香織の姉と私とがこのコを見つけちゃったんです。それを香織に話したら『えー私も見たい!』と」

香織「そう、何日かしてから見に行ったんです。そしたら、マンチカンのこのコと、もう一匹、スコティッシュフォールドの女のコが同じケージに入れられていて、そのコたちとどーうしても目が合う。それでもうどうにも飼いたくなって、かつ2匹は分ちがたく一緒にいるように見えたので、2匹とも飼うことにしたんです。マンチカンの男のコがうた、スコティッシュの女のコがふら。お母さん猫は違うけど、もう兄妹ってことにしよう! と」

ハル「ほんっとうに仲がよかったわよねえ。いつも一緒に寄り添って眠って」

香織「ところが3歳になる頃、ふらが突然亡くなってしまったんです。そのときのうたはすごくかわいそうでした。亡きがらを箱に入れて、一晩家族で皆で眠ろう、って言ってたら、その箱を覗き込もうとするんです。いつも一緒にいた支えを失ってどうなるんだろう? と。でももう、今はともかく母にべったり」

ハル「当然でしょ、私が面倒見てるんだもの。うたたちを飼い始めるとき、香織は『絶対にあたしが面倒をみる』って言ってたのに、案の定、一度もみていない」

香織「しばらくは母や姉の家族と一緒に暮らしてたんですが、小さな子どもも猫もいるから賑やかすぎて全く仕事にならない(笑)。それで今はまた実家を離れているんです。だからうたに会うのもたまになんですよね。母が呼ぶと『にゃあ』って答えるし、おいでと言えば膝にものってくるのに、私には・ぜんぜん・なついてない!!」

ハル「とにかく臆病なコなんです。一人で相手にしている分にはかまってちゃんなのに、大勢の人間がいるとすぐに隠れちゃう」

名前の決定権は家族の誰に!?

ー名前は誰が決めるんですか?

香織「姉か私ですね。うたは、飼い始めた当時に放送していた野島伸司さんのドラマ『あいくるしい』に出てきた女のコの名前から。ウチのうたは男のコなんだけど(笑)。母も提案するんですけど……、ロミオとか……」

ハル「ねえ、かわいい名前じゃない?」

香織「……。そんなのばかり出すので却下されるんです(笑)」

ーおもちゃで遊んだりしますか?

ハル「試してはみたけど、あんまり遊びませんね。たまに人形をくわえて嬉しそうにしてますけど。でも私、ブラッシングしてとれた毛を集めてるんです! もう袋にいっぱいになっちゃった。これでお人形をつくってみようかなと思ってて」

香織「うちの甥っ子たちには短い手で猫ぱんちしてますよ。それがすごく面白い」

ーエサやトイレのこだわりはありますか?

ハル 「通っている動物病院の先生の方針で、キャットフードはダメと言われているので、ずっと茹でてほぐしたささみをあげてたんですが、最近全く食べなくなってしまったんです。それで今は『CIAO』の缶詰をあげています。ささみをベースに、キングサーモンや野菜などが入っているもの。人間でも食べられるようないい匂いがするんですよね。それからトイレの砂は『トフカスPee』の青りんごの香りのものと決めています。全くおしっこの臭いも出ないし、おからでできているのでトイレにも流せるから便利。ずっと使っていますね」

ー一度は飼わないと決めたのに、また飼い始める。猫の魅力ってどういうところですか?

香織「どうしても犬との比較になっちゃいますけど、『かまってかまって』ってされると、どうしていいのか分からなくなるんですよね。猫は適度に放っておいてくれるし、むこうも放っておいてほしそうなところがいい。かといってなつかないわけでもなくて、ちゃんと可愛がっていれば、帰りを待っていたり、撫でてもらいたがったりもするし。そういう距離感がたまらなくいい」

ハル「結局なんだか好きなのよねえ。その一言よ、やっぱり」

香織「またそうやって横から入ってくる(笑)!!」

  • 名前: うた
  • 年齢: 5歳
  • 性別:
  • 品種: マンチカン・トラ
  • 飼い主プロフィール:
    持田香織(もちだ・かおり)
    1978年3月24日生まれ、東京都出身。96年「Feel My Heart」でデビュー。 8thシングル「Time goes by」がミリオンセールスを記録し、その後の2ndアルバム「Time to Destination」は400万枚を超える大ヒット作品となる。 14thシングル「sure」以降ほぼ全ての楽曲の作詞を担当するほか、綾瀬はるかやMAY、中島美嘉へも詞を提供。 2009年1stソロアルバム「moka」、翌10年「NIU」を発表する。またDragon AshのベストアルバムThe Best of DragonAsh with ChangesVol.2に収録の「wipe your eyes feat.Kaori Mochida from ELT」や、井上陽水との「いつのまにか少女は」 など、他のアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。
    http://avexnet.or.jp/mochida/index.html