猫用テント「#catstudyhouse」で知られるD.I.Yレーベル「41世紀」のデザイナー・倉橋孝明さんはドッチとパッチという2匹の雌猫と暮らしています。取材時には、一時預かりをしていたおばあさんの猫・チッチの3匹がいました。動物園のような楽しい仕掛けが盛り沢山の倉橋家で、猫たちとの暮らしについて伺いました。
女だらけの縄張り争い
—猫たちとの出会いは?
「最初にやって来たのは鼻周りの黒色が大きいパッチです。ずっと猫を飼いたいなと思っていたのですが、きっかけがなくて。近所を散歩していたら人懐っこい猫がいて、触れ合ううちに、猫熱が高まってしまったんですね。やっぱり猫と暮らしたいなと思って、里親募集サイトをいくつか探して、パッチに出会いました。その1年後に、ドッチを迎えました」
—2匹目を飼うきっかけが、なにかあったのですか?
「北海道の実家に帰るために2~3日家をあけたことがあって。帰ってきたら、パッチがすごく怒っていたんですね。かまってもらえないから、寂しかったのかなと。そこで、2匹いたらいいかなと考えたんです。しかもちょうどその頃、パッチをもらったサイトを見ていたら、同じような柄の猫がいて、この子だ! とすぐに決めました」
—パッチとドッチはすぐ仲良くなりましたか?
「お世話になっている先輩のしまおまほさん(https://ilovedotcat.com/ja/13044)に、2匹目を迎えることを伝えたら、先住猫との相性があるから大丈夫かな? って言われて心配していました。でも、いざ来てみたら仲良くなってくれて、安心しました。最初はパッチはシャーって警戒していたのですが、でもドッチが全く動じず、グイグイ近寄っていったんです。1週間くらいしたら、パッチはドッチの上だねって話し合いがもたれたのか(笑)、ヒエラルキーが決まって、そこからは喧嘩することもないですね」
—3匹目のチッチはどういう経緯で?
「友人の家の庭に、餌をもらいにくる猫がいたんです。かわいい子猫だよって聞いて、見に行ったら、本当に小さくてかわいくて。ちょうど、猫を飼いたいと言っていた友人に、いい子猫がいるよって連れて行ったんです。爪を切ってもおとなしいし、お風呂にいれても嫌がらない。性格のいい猫だな〜って思っていたんですけど、ちょっと動きがおかしいなと。よく見ると歯がなくて……。もしやと思い、動物病院に連れて行ったら、15歳って言われました。その友人はひとり暮らしで初めて猫を飼う人だったので、いきなり老猫は大変だし、かといって元の野良猫にもどすのも可哀想なので、結局うちに連れてくることになったんです」
—子猫だと思ったら、15歳の老猫だったと。
「ビックリしましたね(笑)。2匹目のドッチは大丈夫だったから、3匹目も全然平気だろうと思ったんですよね。でも、パッチがすごく嫉妬をして、チッチに手をあげるようになって。チッチもプライドが高いのか、やり返すんですね。それぞれ部屋を区切っていたものの、お互いストレスが溜まると可哀想だなと思っていたら、実家の両親がチッチを飼いたいと言ってくれて。来週、北海道に連れて行くことになりました」
—2匹は大丈夫だけど、3匹は難しかったんですね。
「いえ、2匹も3匹もあまり変わらず、もしチッチが仲良くなっていたら3匹で暮らしていたと思います。でも人間で考えたら、2匹のギャルがキャッキャ言いながら暮らしていたところに、いきなり見知らぬおばあさんがやってきたら、そりゃ居心地はよくないなと……。おばあさんにとっても、ワー!ワー! 騒ぐ若者がいたら落ち着かない。僕たちは残念ですが、実家の両親はおとなしい猫との暮らしを楽しみにしているようで、よかったなと思います。でもチッチをみていると、野良時代は苦労してきたんだろうなとか、“ハムっ”て歯のない口で甘噛みされたら、例えでなく、涙がでてきますよ。なぜか見透かされている気もしたり、老猫ってまた特別ですよね」
—猫同士の関係性に変化はありましたか?
「1匹から2匹に増えたときは、猫の社会性を感じました。1匹だと人と接する猫のことしかわからないじゃないですか。でも猫同士の会話が生まれたり、遊んだり、やっぱり人とは違うんだなって。しばらく家をあけて、帰ってきても、パッチは怒らなくなりました。2匹が仲良くなったので、ああ猫同士は大丈夫なんだなって思ってチッチを迎えたんですけど、やっぱり猫にも好き嫌いがあるんだなと思い知らされました」
—ドッチとパッチ、2匹の性格は?
「ドッチは嫌って言わない猫ですね。どんこ(https://ilovedotcat.com/ja/6209)の飼い主・井上さんも言っていましたが、どんこ以上に何をしてもOKな猫です。その代わり、呼んでも来ないですけど(笑)。どんこ宅のテラスハウス方式も羨ましいですね。ドッチは内弁慶なタイプで、外に出すとけっこうビビってしまうんです。パッチは長女らしくて、ドッチは次女。何かするときはドッチが様子をみて、OKになったらパッチがでてくる。2匹は常に一緒にいて、仲がいいですね。共通の敵がいると、徒党を組んで対抗する。女子っぽいですね」
猫用テントの開発秘話
—猫用テント「#catstudyhouse」はどういったきっかけで作ったのですか?
「奥さんが履いているロングスカートの中に、パッチが出たり入ったりしていたんですね。子ども用テントを作ろうかなと思っていた時で、じゃあ猫用にトライしてみようと。どんこやデビくん(https://ilovedotcat.com/ja/17114)、坂本美雨さんの愛猫・サバ美(https://ilovedotcat.com/ja/1332)に試してもらって、改良を重ねていきました。竹とアルミでてきた骨組みに、帆布と革を使っています。軽いので持ち運びもできますし、折り畳むとコンパクトに収納できます。犬は床面があったほうがいいというリクエストをいただいて、改良した #catstudyhouse theGIANT では床面をつけて、丸洗いできるようにすべてアクリルでつくりました」
—どんこやデビくんなど、猫界で人気の猫たちとは昔から知り合いだったのですか?
「どんこの飼い主である外山さんは、前に務めていたお店のお客さんだったんです。もともとは仕事の繋がりで顔見知り程度だった人が、instagramで猫を飼っていることを知り、猫たちに会いたいから、家に行き来するような友人になりました。僕は北海道から東京にでてきて、大人になってから新しい友人なんてそうそうできないなって思っていたので、猫がきっかけで広がった感じです。猫友だちって不思議な関係ですね」
—今後、猫用アイテムの新作の予定は?
「キャットタワーも作りたいと思っています。いまは棚に板を渡してアクリルや網をのせる遊びにハマっていて。旭山動物園の空中にせり出したヒョウのオリから思いついたのですが、猫も下から見てみたいじゃないですか。しかもアクリルじゃなくて、網にしたら触ることができますから(笑)。猫が楽しいだけでなく、人も楽しめるモノができるといいですよね」